シリアの青年海外協力隊隊員タカ君と出会い、「僕のもうひとつの家族に会いに行こう」と連れて来てもらったアルファラット村。
アレッポから車で約1時間東に行ったところにあるマンベジという町の、さらに車で約30分東に行ったところにあるのが、人口3000人くらいののどかなこの村だ。
電気やガスはあるが、水道はなく、乾いた大地に住み、男性のほとんどが生活資金を得る為に出稼ぎに町に出ているという。
1つの家族の子どもの数は、平均7人といわれていて、ほとんどの家族が10人くらいの大所帯。
アルファラット村で訪れたのは、タカ君がアルファラット村の保健センターで活動している時に知り合った掃除夫さんの家。
お父さん、お母さん、3人の姉妹、2人の兄弟がいる。
私たちが行った日には親戚の女性も5人以上来ていて、とても賑やかだった。
じつはこの日、タカ君の誕生日。
タカ君が彼ら家族に「お祝いをするからうちにいらっしゃい」と招待されていたのだ。
私達はそこに何の前触れもなく、一緒におじゃまさせてもらった。
いきなり外人が家に来るというこの状況、いくら友達の友達とはいえ、迷惑なんじゃないだろうか。
しかもここはシリアの首都ダマスカスのように、外人の闊歩する観光地ではない。
もちろん、地球の歩き方にもロンリ-プラネットにも載っていないシリアの田舎の村。
外人なんて青年海外協力隊の人くらいしかこないだろう。
突然お邪魔したら、びっくりして戸惑ってしまうのでは・・・・・・。
でも、そんな予想は見事に裏切られた。
まったくの初対面、まるっきり部外者の私達を、その家族は「来てくれてありがとう!」と温かくもてなしてくれたのだ。
最初は少し緊張していた私達も、家族の笑顔と相手を思いやったおしゃべりにすっかり心を溶かされてしまった。
初対面の人に対して、どうしてこんなに親切なもてなしが出来るのだろう。
彼らはまず人を悪く思ったりしないのだと思う。
自分達と同じ人間として尊敬を持って、接してくれている。
少し打ち解けると、相手を褒める言葉や「大好き」という言葉がすぐに出てくる。
彼らは私たちが旅人で、アルファラット村にもうきっと来ないということを知っている。
それなのに、どうしてというくらい優しくて、私は少し泣きそうだ。
お母さんは、私に「何色が好き?」と聞いて、私が「赤」と答えると赤いベルベットの生地でポーチを作ってくれた。
「これで、私達の家に来たことを忘れないでしょう?シリアに来たらいつでも戻っていらっしゃい」と言ってくれた。
せっかくシリアに来たのだからと、シリアの伝統的な衣装を着せてくれて、写真を撮らせてくれた。
娘のブトゥレちゃんは、私が何をするのにも手伝ってくれて、朝私が起きたのに合わせて自分も起きて、いろいろお世話してくれた。
13歳の日本人が同じことをできるなんてとても思えない。
ものがたくさんあるわけではないのに、子どもたちみんなが「私の宝物、私を忘れないでね」とキーホルダーや自分のアクセサリーをプレゼントしてくれた。
善意の塊のようなその行為に、私はすっかり参ってしまい、彼ら家族の皆が大好きという状態に2時間もしないうちになってしまった。
一緒に連れてきてくれたタカ君が「お客さんが来ることはとてもうれしいことなんだよ」と教えてくれた。
確かに、彼ら家族と一緒にいると「来てくれてうれしい」という気持ちがびんびん伝わってきて、とても居心地が良い。
シリアで初めて出会った家族に、こんなに幸せな気持ちをもらうことになるなんて・・・・・・。
そういえば、ここに来る前に出会ったイスラム教の博士も「ゲストを招くことほど、天国に近づくことはない」と言って、幸せそうに私達に食事を提供してくれた。
私も誰かを家に招いたら、心から喜んでもてなせるようになりたい。
それはお互いにとって、きっととても幸せなことなのだ。
こんなことがあって、私はすっかりシリアの人を尊敬し、シリアが大好きになってしまった。
同じように、初めて出会った私達に、親切に、そして熱心にシリアを案内してくれたタカ君のことも大好きになってしまった。
出会いを喜ぶことは、きっと幸せな出会いを生む条件。
幸せな出会いは、幸せな未来を作っていく。
いつも出会いを喜べる人間、そういう人に私もなりたい。

